日本の栄養学の母・香川綾先生の偉大な業績を紹介。
計量カップの発明、四群点数法の開発、胚芽米研究など、私たちの食生活を支える功績について、ご紹介したいと思います。
脚気との闘い、そして胚芽米への情熱
香川綾先生が活躍された時代、日本では脚気が深刻な社会問題となっていました。
当時は原因も分からず、多くの人々が苦しんでいた病気です。
医師でもあった綾先生は、この脚気の予防と治療に胚芽米が効果的であることに着目し、その研究と普及に人生を捧げました。
白米が主流だった時代に、栄養価の高い胚芽米の重要性を訴え続けることは、決して容易なことではなかったでしょう。
しかし綾先生は、人々の健康を守るという強い信念を持って、この困難な道を歩み続けたのです。
仕事と育児の両立 〜一日一日を大切に〜
綾先生の生き方で私は心に残るのは、医師・研究者・教育者としての仕事と育児を見事に両立させたことです。
今でこそワークライフバランスという言葉が当たり前になりましたが、当時の時代背景を考えると、これは並大抵のことではありません。
一日一日を大切に歩み続けた綾先生の姿勢は、まさに「実践と学びの歩み」そのものでした。
自らが実践者として生き、その経験を栄養学の発展に活かしていく。
この姿勢こそが、後に続く多くの人々に影響を与えたのだと思います。
戦後の再建と栄養学園の設立
終戦後の昭和22年(1947年)、綾先生は周囲の人々の助けを得て学園を再建しました。
そして翌年には財団法人香川栄養学園を設立。
焼け野原から立ち上がった日本で、人々の健康と栄養改善のための教育機関を作り上げたのです。
この学園は、その後日本の栄養学教育の中心的存在となり、数多くの栄養士や管理栄養士を輩出することになります。
革新的な発明 〜計量カップとスプーン〜
綾先生の偉大さは、理論だけでなく実践的なツールを生み出したことにもあります。
200ccの計量カップ、15ccと5ccの計量スプーンを考案したのは、まさに先生でした。
「誰がつくってもおいしい味に仕上がるように」という想いから生まれたこれらの道具は、今や日本中、いや世界中のキッチンで当たり前に使われています。
私たちが毎日の料理で何気なく使っている計量カップやスプーンが、実は香川綾先生の発明だったとは、驚きではありませんか?
「5つの食品群」と四群点数法
綾先生は戦後間もないころ、「5つの食品群」を提唱されました。
これは栄養バランスの取れた食事を実現するための画期的な考え方でした。
そしてこの考え方は、後の「四群点数法」へと発展していきます。
四群点数法は、誰もが実践できる食事法として、試行錯誤を重ねて開発されました。
難しい栄養学の知識がなくても、誰でも簡単にバランスの良い食事を組み立てられる。
このシンプルさこそが、綾先生の方法論の素晴らしさです。
専門家だけのものではなく、すべての人が実践できる栄養学。
これが香川綾先生の目指した「栄養改善の歩み」だったのです。
おわりに
香川綾先生の生涯は、まさに「みんなの健康のため」に捧げられたものでした。
胚芽米の研究、計量カップの考案、食品群の提唱、四群点数法の開発。
そのすべてが、一人でも多くの人々が健康な食生活を送れるようにという願いから生まれたものです。
私たちが今日、栄養バランスを考えながら食事をすることができるのは、香川綾先生のような先駆者たちの努力があったからこそ。
キッチンで計量カップを手にするたび、先生の偉業を思い出したいものです
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